三時半頃、バスに乗り込んだ。リクライニングで背が倒れた痕跡はあるのだが、レバーは完全に壊れ、背もたれはまったく動かなかった。シートからは汗が染み込んだ階えた臭いもした。座席は狭く、足を十分に伸ばすこともできない。もちろん空調はないから、窓は開け放たれたままである。発車時刻が近づくと、どこからともなくわらわらと人が乗り込み、ほぼ満席になった。このバスに十五時間か……。もう諦めるしかなかった。バスはまずコルカタ市内をまわりはじめた。
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車掌は乗車口のドアを開け、道行く人々に大声で行き先を叫びつづける。まだ客を乗せるつもりらしい。ひとまわりすると、鉄道のハウラー駅近くの商店の前で停まった。車掌と運転手が降り、店先に積んであった横1メートル、長さニメートルに高さは1メートル以上もある荷物を屋根に積みはじめた。ぼんやり眺めていると、その数は十個を超えた。屋根にはどれほどのスペースがあるのだろうか。ぼんやりとその光景を眺めながら、昔のアジアのバスが蘇ってくる。これだけの荷物を乗せるのなら、発車時刻前にするのが筋だと思うのだが、アジアのバスはいつもこうだった。その作業をなんの文句もいわずに受け入れることがアジアの常識だった。トラックのようにも利用されるバスを、韓国からの道のりのどこかで体験するのかと思っていたが、中国や東南アジアのバスはあまりに進化していた。昔ながらのアジアバスに、ようやくインドで出合った。覚悟しなければいけないようだった。